For you









「どうしたの?雄二、難しい顔しちゃって。」


「ん?やや。何にもないです。」


「・・・ふ〜ん。」








バレちまったらたまらない




今、俺が何を悩んでるかなんて








「もう梅雨明けるねぇ。」

「ん?うん。」

「夏が来るよね。」

「んん。」





亜里は俺が考え事をしていることに気付きつつ話し続ける





「今年の夏は忙しい?」

「ん?そりゃぁお前さん、忙しくなきゃ困ったもんだ。」

「あ、そっか。」





彼女は楽しそうに、ふふ、と笑う








「なぁ、亜里。」

「ん?」

「亜里は・・・」

「ん?」

「・・・やっぱりいいや。」

「何よ、もう。」























『君は誕生日に、何が欲しい??』














・・・なんつってな























村:「そりゃ〜お前、アクセサリーが無難なんじゃねえか?」

酒:「あくせさりぃ・・・」

安:「結構さ、凝ったプレゼントすると泣いちゃう子いるよね。」

酒:「泣かせたいわけじゃないぞ。」

安:「いや、だからね・・・」

村:「感激の涙よ!」

酒:「あぁ、なるほどね。」

黒:「何でもいいんじゃない?女の子は結構何でも喜んでくれるよ、なぁ?」

北:「まぁね。」

酒:「・・・むぅ。」

村:「で?肝心な誕生日はいつなわけ??」

酒:「今日。」






4人:「・・・・・・・・・・・・・」






酒:「???」

村:「・・・・さて、初めるか。」

北:「そうだね。」

酒:「おい、まだ話が終わってな・・・」




安:「酒井さんね、相談するの遅すぎ。」




村:「お前今日0時までに終われるとでも思ってんの?」



















そうか・・・考えてみりゃ、そうだ






今日あげなきゃいかんものを今日考えててどうすんだ?



え?

どうすんだ?!!





俺はとんでもないバカだ・・・





今まで考えてないわけではなかった


むしろここ数日の悩みの種だったんだ


だって本人に聞くわけにも、いかないだろう・・・?














数時間後―・・・





酒:「リーダー、今日何時くらいに終わるんすかね?」

村:「さぁ〜??・・・ま、今日中には終わらねえわな。」

酒:「・・・・そうか。」







ごめんな、亜里・・・


こんな日にひとりにして











時計の音がやけに耳につく





針は23:20を指している




電話しようか・・・?


いや、それじゃいくらなんでも味気なさ過ぎる誕生日だ








「・・・くそっ。」








思わず口からもれる後悔




亜里・・・  亜里・・・・
















村:「酒井、お前帰れ。」






酒:「・・・へ」


村:「へじゃなくてぇ、そんなにイラつかれちゃこっちもすすまねえよ。」

酒:「あぁ、ごめん。」

村:「もういいから。帰れ。」

酒:「いや、大丈夫だって。」

村:「プレゼントは無理だけど、会いに行くくらいはできるだろ。」

酒:「へ・・・?」

村:「だから、へじゃなくてぇ。」








うそだろ・・・


リーダーまさか、背中を押してくれてるのか??











村:「そのかわり、明日お前んとこ、まとめて録るからな。」

酒:「わかった。ありがたい。」

村:「泣かしてこいよ。したら俺がラーメンおごってやるわ。」

酒:「あ〜ハイハイ。・・・じゃぁ、お疲れです。」

村:「ん。お疲れ。走れよ。」

















俺は走った








何も考えずに走った





夏が近いせいか外は蒸し暑く


走ると汗が流れた





けれど俺は走った








見えているものといえば、時計の針と


少し先に見える、亜里のマンションの灯りだけだった























ピンポーン





「・・・はい?」


時間が時間なだけに、亜里の声に少し怯えが混じる








「・・・俺、だけど・・・」

「え、雄二!?」


俺とわかると亜里はすばやくドアを開けた








「すごい汗・・・走ったの?」

「ん・・・。あっ、亜里、今何時!??」

「今・・・12時。」

「えぇ!?」

「あ、ていうか、正確には23:57。」

「よかった!!亜里、たんじょう・・・げほっ!ごほっ!!」

「ちょ、ちょっと、大丈夫!?」







まだ正常な呼吸が回復していなかったようだ


なんて決まるとこで決まらん男なんだ俺は!!







「あ・・・雄二、もしかして」

「・・・誕生日、おめでとう。」

「・・・雄二。」

「いや、ていうか、手ぶらで言う事じゃないよな。ごめんな。・・・亜里、お前は一体何が

欲しいんだ?考えても考えてもまっったく判らんかったんだ。」





おめでとうが遅れてしまっただけに


何が何でも彼女の欲しいものを贈ってあげたい








「わたしの、ほしいもの?」

「あぁ・・・」


亜里は少し考えて、そして言った





「雄二の笑顔がいいな。」


「・・・は、ぇ?」


「雄二の、笑った顔がいい。」


「俺の?」


「うん、だって・・・」


「だって?」


「最近雄二、ずっと難しい顔してたじゃない?」


「・・・それは・・・」







それは、君へのプレゼントを考えていたから・・・








「欲しいな。くれるの?」


「いや、そりゃ急に言われても・・・」








照れがきて下を向く他ない


あぁ、恥ずかしい・・・





「だよね(笑)何にもないのに笑えないよね。いいよいいよ!」

「けど、今日が終わっちまう・・・」

「いいの。じゃぁ雄二、これからも、たくさん私のとなりで笑ってくれる?」

「あぁ、もちろんだ!」

「よかった。」








亜里は今までにないほどの笑顔を見せた








「そんなんで、いいのか?」


「うん。」


「ほんとにか?」


「うん。・・・あ!!!!」





次の瞬間、彼女がうれしそうな顔をする








それは、俺が、彼女に笑顔をあげたからで・・・














その笑顔は紛れもなく、プレゼントなんかじゃなく











彼女が「笑顔がほしい」と言ってくれたことへの喜びで











それは心からの、俺の笑顔で











こんなものでいいのなら








俺はいくらでも、君にあげられる














いくらでも、どれだけでも














いつまでも、な

















○●Thank you very much!!●○



1200hit踏んでくださったプライマルさまへ!
お待たせしました!「つきあって初めての彼女の誕生日!」というリクでしたv
いかがでしょうか・・・梅雨明けというリクにあまり答えられなかったのが残念です。すみません〜。
酒井さん作品、つかんできました!(笑)
ところどころ、酒井さんらしさが出せたらなぁと思います。
なぜ彼女が最後に酒井さんに笑顔をねだったか・・・それは私が酒井さんの笑顔が大好きだから。
本当に酒井さんの笑顔、おちつきます。
それともうひとつ、さすが同じ出身地だけあって方言をやたら使っちゃいました(汗)
近い人は気付くかも・・・vvそういうところも楽しんでいただけたら嬉しいな。
感想いただけると、うれしいですvv


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