キミはおおきい




















RRRRRRRRRR



「もしもし。」

「あ、美沙紀?・・・俺。」

「うん。」

「あー・・・。あの、わりぃな。今日・・・。」

「いいよ。お仕事でしょ?仕方ないよ。判ってるよ。」

「あぁ、けどぉ・・・。」

「一回会えなかったくらいで怒らないから。」

「一回じゃねぇじゃん。こないだもじゃん。」

「・・・うん。けど、大丈夫だって。大丈夫!」

「いや、よくねぇって。」

「いいよ。」

「いかんって。」

「大丈夫だってば。」

「いや、だめだ。だめ。」

「??え、何がだめなの?」

「今平気?」

「は!?」





何を突然・・・


・・・今?





「大丈夫・・・だけど。」

「行くから。今から。」

「えっ・・・い、今、今から?」




時計は10:40を指している

本気で言ってる??





「待ってろよ。わかった?」

「うん・・・。」



電話は一方的に切れた

普段からこういうノリはあったけど



この時間はどうなの??っていう・・・













♪〜〜・・・


5秒で切れる着信音はあの人からのメール受信

『今ついた。

腹減ったからどっか行こうや。

30秒以内に降りてこい。』





あ〜あ、もう

完璧にわがままモードだわ




文句も言いつつやっぱり嬉しい気持ちのが勝つ

いつもは仕事の後は会いたくても我慢しようって

決めていたから



仕事の後に会いに来てくれるなんて

初めてだから




コートを掴んで急いでマンションの下まで降りると

見慣れた車がハザードランプを点滅させたまま停まっている

それを見ただけで足取りが早まって仕方ない




助手席の窓を軽く叩くと

暗い運転席にいる人物が振り向くのが見えた







がちゃ

「どうしたの?突然に。」

「えらい!28秒でした。」

「あ、ありがとう・・・じゃなくて、あの、私怒ってないからね?無理しなくても・・・」

「別に無理してねえよ。何?俺から会いたがっちゃだめなわけ?」

「え・・・」




会いたいって、思ってくれたの??




「俺さぁ、めちゃめちゃ腹減ってんだわ。」

「晩ご飯食べてないの!?」

「いや、あいつらと食ったけど、早かったから空いちゃって・・・。美沙紀は?食ったよな。」

「うん。けど、いいよ。てつやが行きたいなら行こうよ。」

「よっしゃ。俺牛丼食いたい!」

「つきあう。」

「さんきゅ。」







まだまだ賑わう街中に、てつやの慣れた運転が溶け込む



道を右折したとき、なつかしい感じが蘇った






「てつや。」

「んー?」

「昔よく、こうやってドライブしたよね。」

「んー?あぁ。」

「てつや免許取りたてでさ、運転かなり怖かったよ〜。」

「(笑)うるさいよ!」

「右折した時にこすっちゃったの覚えてる?」

「は!?いつだよソレ!?」

「3年前だよ。覚えてない?」

「3年〜・・・?俺そん時どうした?」

「『ま、いっか』って(笑)」

「うっそ!適当だなオイ!・・・あ、けど言いそう。てか今も言いそうだ。」

「私もそう思う!」







てつやの車に乗ってこんなにはしゃぐのは何ヶ月ぶりかな

なんだかすごくうれしくて

気持ちが楽で

久しぶりに遠くの実家にでも帰ったような気分になれるんだ










てつや、昔よく、こうしてドライブしたよね



それでふたりで安い晩ご飯を食べて



帰りには「自販機カフェ」って名づけて



自販機のコーヒーを車の中で飲んだよね



てつやは覚えてるかな??



その時必ずてつやは


運転席から身を乗り出して、私に







コーヒー味のキスをくれたことを






もう3年も前の話





「自販機カフェ」をてつやはまだ覚えてるかな??











ハンドルを握って前を向いたまま



てつやは片手でサングラスを外した



そして口を開くのを少し渋りながら



何かを喋りはじめる






「今日さ・・・・」


「うん。」

「会い、会いたかったって・・・いうの?っていうのはぁ、」

「うん。」

「その〜・・・ほんとはぁ、真意っていうか、が、あってさ?」



死ぬほど言いづらそうに話しつづける



「う、うん。」

こっちまで緊張しちゃうよ・・・



「今日、仕事でぇ、あのぉ、ちょ・・・っとムカツク事あった、んだわ。」

「あ、そうなの・・・?」

「いや、それ自体は大した事じゃないわけよ。うん。」

「・・・」

「んで、あの〜・・・なんつーか、『疲れるなークソ』って思った時にぃ。」

「うん?」

「気付いたら、・・・電話してた、っていうか。」

「ん?誰に?」

「だからぁ、美沙紀に!」

「え・・・あ、うん。そうなの・・・」







「はぁ・・・。」



言うんじゃなかった、みたいな大袈裟な溜息をつくてつや







てつや・・・



愛しくて、愛しくて







「で、ダメだよ、ここで終わったら。だめだめ。」



てつやはひとりで言い聞かせるようにブツブツ呟く





「電話しながら、思った・・・じゃなくて、思い知ったんだけど。」

「うん。何を?」





尚も前を向いたままてつやは言いづらそうに口を開く









「やっぱ、美沙紀はぁ・・・俺ん中で、その、相当デカイなと。」









ん?・・・



デカイ?






「デカイって??」



「だからさ?存在が、っていう・・・」


存在が・・・大きい??


「・・・てつや。」



私がうなづいたのと同時くらいに、車のスピードが増す









そうだったね





てつやはいつも、照れるとアクセルを踏み込むくせ



変わってないね



















『俺ん中で、その、相当デカイなと』

















今更気付くなんてね


けどそれは




てつやが私を、時間をかけて愛してくれた証拠だね













「なぁ」「ねぇ」





同時に口を開く



「あ、わり。先言えよ。」

「うん。あのさ、てつや、自販機カフェ、覚えてる?」



どうかな?


覚えててくれるかな??

ドキドキ、、、









「・・・・」



あ、だめ?


「・・・びびった。」

「へ??」

「今俺もそれ聞こうと思ったんだって。」

「うそ!?」

「マジマジ!」

「覚えてたの?」

「覚えてる覚えてる。何で別れてもないのに忘れなきゃいけないんだって。」









そうだった



覚えててくれたんだね









「うっしゃ、牛丼食ったら久々に行くか!?」

「ほんと!?」

「安上がりで悪いけど。」

「いいよ!うれしいよ!!」















その日

3年前と同じように




私たちは缶コーヒーを飲んで話をして







そしててつやは、





3年前のように



運転席から身を乗り出して







私に


コーヒー味のキスをくれた













少し、少しだけ


涙が出たのは





寒さのせいだけじゃなかったはずだよね











○●Thank you very much!!●○



1444hit踏んでくださった哲娘さまへ!
えぇーと、なんのリクか判らなくなる程ひどい出来で・・・
「てっちゃんとドライブデート」なんていう素敵なリクをいただいときながら・・・
なんか・・・いかがでしょう??(汗)
あるサイトさんのラジオレポを読んでいたら、てっちゃんはひどい照れ屋で
しかもクサイ(?)言葉は全く言わないそうで、ラジオの企画でさえいっぱいいっぱいのご様子。
ということで、めちゃめちゃ照れてもらいました(爆)
運転中という目を見ずに気持ちが伝えられる手段を利用して頑張ってもらったんです。
いかがですか??哲娘さん。。。
あ、あげます!受け取ってください(>_<)ノ
そして、感想いただけたらうれしいです!


テツマニの哲娘さまへ>>



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