みそ汁













午前7:40。

今日の陽一の仕事は10:00から
私は陽一よりずっと早く起きて、朝ごはんを作る
このおみそ汁ができたら陽一を起こしに行く
それが私の朝の日課



ん〜、けど今日は昨日の片付けが終わってないんだな・・・
早く片付けなきゃ

がちゃがちゃやってると背中から声がした




「おはよう。」

「ひゃ!!」


がちゃん!

「お、おはよう!!」
「何慌ててんの?」
「だって・・・急に起きてくるから!ビックリするじゃない!」
「んはは!そんな驚かなくても。お皿、割れてない?」
「うん大丈夫!よかった割れなくて。」
「そうじゃなくて、がケガしたらいかんでしょう。」
「あ、そういう事か。大丈夫だよ。」

にこって笑ってからあくびをして席につく陽一
少しネグセがついてる




「ごめんね、すぐごはんできるから。」
「いいよ、慌てなくて。まだ時間あるから。」
「けど昨日の片付けが終わってないの。片付けやらずに、ホラ・・・寝ちゃったから。」

ゆうべの事を思い出して少し照れくさい

「あぁ、そっか。ごめん。」
「いえいえ。」



なんか本当に照れくさいな
毎日迎えてる朝も、愛し合った次の日の朝だけは
なんだか違う感じがする


そんな朝も、悪くはないけどね
陽一も、そうなのかな??


もうほとんどできあがったおみそ汁の火を消そうとした

その時





「あつッ!」
がちゃんッ!!




「どうした!?」

しまった!
熱い鍋に指が触れた

イタイ・・・

?!大丈夫!?」
「うん、だいじょう・・・」

指を見ると真っ赤に腫れ上がってる

ヤバイ・・・


「大丈夫じゃないだろ!!ちょっとこっち来て!」
陽一がもの凄い勢いで怒鳴る


うそ・・・
陽一が怒った・・・











「これでヨシ。」

「あ、ありがとう。」



陽一は私の指を丁寧に手当てしてくれた

「包帯まくの、上手だね。」
「あぁ、昔よく妹がケガした時やってあげてたから。」

救急箱を片付けながら言う



なんか・・・怒ってる?


「朝ごはんは適当にやるから、はじっとしてて。」
「でも・・・」
「いいから!」
「・・・」


陽一は私の返事も待たずに部屋を出て行ってしまった


「・・・怒っちゃった。」


手当てをしてくれる間もずっと黙ったままだった陽一
それでも包帯を巻く手が少しばかり震えていて
本気で心配してくれてるのがわかった




「・・・・・」

なんだか寂しくなった

陽一に、早く朝ごはん食べてもらおうと思っただけなのに
自分の不器用さに泣けてくる


鼻のあたりがツンとして
こらえたいのに、こらえきれない涙が
少しだけ瞳にたまる




指の痛みと、胸の痛みが 少しだけ似ていた







その時・・・

がちゃ!

私のいる部屋に、陽一が入ってきた
少し深刻な表情


。」
「は、はい!」
「あのみそ汁作ったのって?」
「へッ??」
コワイ顔して、何言うかと思ったら・・・
みそ汁?
「あれ、キッチンにあるみそ汁。」
「・・・そ、そうだけど。」



陽一は少し私を見つめたあと
目の前にしゃがんで
私の涙を少し強引にぬぐった

「泣いてたの?」
「・・・だって」
「・・・俺、びっくりしたんだ。本気で。」
「うん・・・」
「・・・怒るつもりなかったんだよ。」
「うん・・・」
「けど・・・」
「?」
「・・・怒鳴ってごめんな。びっくりしたでしょ?」



陽一があまりに切ない表情で謝るから
少し涙をこらえるのに苦労した



「とにかくその指じゃなんにもできないから、ここにいなよ。」
「うん・・・ごめん。」
「いいから。」
さっきとは違う、いつもの笑顔で陽一は部屋を出ようとする





「あ。」


「?」


ドアの前で陽一が振り返る

、1年前の俺のプロポーズの言葉覚えてる?」
「え!!?」


なんだろ突然・・・


「うん・・・『死ぬまで一緒にいてよ』って・・・」
「あ。それじゃなくて、その後に言ったやつ。」
「え!?・・・判んない、私感激して泣いちゃってて、 あんまりあの後の事覚えてないの・・・ごめんね。」
「そっか。だよね。いいよいいよ。」
陽一は部屋を出た




なんだったんだろう?






**********************

5日後―



RRRRRRRRRR

「はい、北山です。・・・あ、はい、いますよ。ちょっと待ってくださいね。」

「陽一〜!お義母さんから電話!」
「はいはい」



「もしもし・・・うん、うん。・・・は?の卒業アルバム?高校の?
知らないよ、何で俺に聞くんだよ?・・・うん、・・・知らないってば(笑)
・・・うん、ハイハイ。じゃあ切るよ?・・・」


あ・・・






「あ!待った!!もしもし!?・・・あのさ、 おふくろのみそ汁ね、越える味、見つけたよ。・・・うん、それだけ(笑)じゃあ。」














1年前

僕が君に言ったこと

あれは確かに

プロポーズの後の照れ隠しだったかもしれない

けど、

君がそれを覚えていてくれたんじゃないかって

思ったほど

あのみそ汁はおいしかったんだ










「死ぬまで一緒にいて」













「めちゃめちゃうまいみそ汁毎日作ってよ」










君は泣きながら泣きながら




うんうんうん!と

何度も





頷いたね







○●Thank you very much!!●○

200hitを踏んでくださった美樹さんへvv
「北山さんと甘ぁい新婚生活」という事で、書かせていただきましたよv
テーマはみそ汁にしちゃいましたが、
これは北山さんが「最近母親を越えるみそ汁を発見した」と言っていたので
いつかそれを話に使おうって思っていて実現しました(爆)
あと美樹さんのリクエストに『プロポーズに始まり』ってあったのに
プロポーズが後になっちゃいました・・・そこの所、お許し願います(><)

こんなんでよろしければ、もらってやってくださいねv


キタマニの美樹さんへ >> 壱川ともより★

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送