君が泣きやむまで















ガチャ



「あ・・・」



部屋の鍵が空いている


これはめぐみが来ている証拠だ







いつも少しばかり期待して帰るから



鍵が空いていると、やっぱり・・・

とてもうれしい





「めぐみ?来てるの?」

声をかけながら部屋に入る

・・・・・

返事がないな



ジャケットを脱いで、腕時計をはずす



寝室に入ると





・・・いた

めぐみは僕のベッドの上で

眠ってしまっている



めずらしいな・・・





ちょっと薄着なめぐみ

風邪ひきそうだ



「めぐみ、めぐみ」

「・・・ん」

「めぐみ。ただいま。」





・・・ん?

なんか・・・なにかおかしい

彼女の頬に見えるのは・・・











涙の跡・・・!?





まさか!?











顔を近づけて見てみると

やっぱり涙の跡だった

うそだろ?

なんで・・・?





「・・・陽一?」

寝ぼけまなこでめぐみが僕の名を呼ぶ

「おかえり、ようい・・・」

「めぐみ、どうしたの?」





僕は思わず問いただす

彼女が僕の家にきて

泣きながら眠りについた??

気にせずにいられるものか







「なにが・・・?」

まだ少し寝ぼけているめぐみ

「何がじゃなくて、泣いてたの?ここで。」

はじめ何の事か判らない様子だった彼女が

序序に意識をハッキリさせてゆく

そして瞳には悲しみの色

どうしたっていうんだ・・・?





「何かあった?」

「・・・」

「何があったの?めぐみ。」

「・・・ううん」

「ううんじゃなくてさ。」

「別になんにも・・・」

「泣きそうな顔して何もないなんて言わないで。」

「・・・・・」



なにかに耐える顔が痛々しいんだ





ねぇ、めぐみ







頼むからそんな顔しないで





「陽一までそんな顔しないで。」

「どんな顔?」

「泣きそうな顔だわ・・・」

「見るのが、辛い?」

「・・・辛いわ。」

「じゃぁめぐみもそんな顔しないで。」

「・・・・・」

「俺だって・・・辛い。」











やばいな





僕はこんなにも



こんなにめぐみを好きだったんだって

実感する





「話して。」

「・・・・・・うん。」





めぐみはようやく頷いた





**************************











「同僚が、悪口を??」





泣きはらした顔でめぐみは頷く







「俺達の?」





もう一度、ウンと頷く







それは、つまり・・・・



つまり、その・・・

単なる

ゴスペラーズに対しての中傷。

ってことだよね・・・









「なんだ・・・そんな事かぁ〜〜。」

「そんなことって・・・」

「いや、ごめん。けどさ、そんなの慣れてるよ。ていうかプロはそんな事気にしてたら・・・」

「けど私は悔しかった!!!!!」









めぐみは突然、更に大粒の涙をこぼしながら訴えた












「陽一たちがどんなに頑張ってるか知ってるもの!!!それを・・・!」



「めぐみ、もういいから・・・」



「村上さんも、黒沢さんも雄二くんも、安岡くんも、みんなが頑張ってる姿見てるもの!
そりゃ、私がまさか陽一とつきあってるなんて、みんな知らないけど、でも」



「めぐ・・・」



「でもわたし・・・悔しくて悔しくてたまらなかっ・・・・・」





















彼女の何滴目かの涙が





彼女の頬をつたった、その瞬間だった


























ほとんど無意識だった




















俺はぼろぼろ涙を流して訴えるめぐみを







その小さな身体を



思いっきり抱き寄せた







胸が・・・

なんというか

胸がいっぱいで・・・

腕いっぱいにめぐみを抱きしめる



俺の耳元で、めぐみが呼吸を整えるのがわかった

























愛しくて







たまらない













こんなに優しいきみに











どんな言葉を伝えようか























「めぐみ」

「・・・ん?」



少し鼻のつまった声が愛しくて

腕に力がこもる



「俺は、何を言われたって平気なんだって。」



「でも・・・」



「どうしてか、わかる?」



「・・・ど、して?」









「めぐみがここにいるから。」

「!」







ほんとうだよ



「めぐみがいつも俺の近くにいるだけで、俺がどんなに頑張れるか、知らないでしょ?」



ほとんど自分に言い聞かせるように

自分の中のめぐみを再確認するように



「めぐみは、いつも俺の中の同じ場所にいて、背中を押してくれる。」



俺は話し続けた



「まるで・・・北極星みたいだって、思ってた。」



君に伝えたくて



「小さい頃、よく眺めてたんだ・・・。悲しい事があっても、あの星だけはいつも同じ場所で自分を見てるんだって。」



君を安心させたくて



「めぐみさえいれば、俺はいつまでも歌を歌っていられる気がするよ。」





君が泣きやむまで







「だから・・・・・」







抱きしめよう









「もう泣かないで。」





















君が泣きやんだら























ひとつになろう




















○●Thank you very much!!●○



280hit踏んでくださったmegu.uさまへ!
リクエストは、お相手は北山さんで「北極星」の曲をイメージに。という事でしたが・・・
ご満足いただけたでしょうか???少々不安です。
北山氏は人を安心させるのがお上手なような気がします。
あの低い声で「大丈夫」なんて言ったら文句なしの説得力ですよね。
その安心させる言葉を放ちつつ、今回は言ってる自分も彼女を再確認してしまったと。
そんな具合なお話になってます。
・・・いや、したつもりです(笑) 受け取ってくださいvv



キタマニのmegu.uさんへ>>

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