お前もそろそろ
種明かしして
俺んとこに姿を見せてくれないか
ガチャン..
まだ目も覚めきらぬ明け方
玄関のドアが閉まる音がした
・・・気がした
少し眠りの世界と現実を
行ったり来たりした後
俺の脳はようやくその音を認知する
「・・・!!!!??!?」
俺はまだ寝起きで
声がかすれたことも気にせずに
布団を蹴り上げて
寝室を飛びだした
扉を開けると
いつものソファにが座っている
ちょこんと座って
いつもの笑顔で俺のほうを見てる
・・・ほんとに?
「ほんとに・・・?」
俺は情けないほどに小さな声で
に声をかけてみた
むやみに近づくと、うっかり消えてしまう気がして
「当たり前じゃない。あたしよ。」
「え・・・どこ行ってたのお前!?一週間も!」
「どこって。ちょっと。」
「ちょっとって何だよ・・・あーッもう、心配させんなよ!」
「心配した?」
「当たり前だろ!」
それまで一歩も前に出なかった足で
にかけより
その細い体を力いっぱいに抱きしめる
「・・・痛いよ、てっちゃん。」
「・・・」
「心配してくれてありがとう。嬉しいよ。」
「・・・」
「驚かせたかっただけなんだ。てっちゃんを。」
「・・・ほんとか?」
「ん?」
「ほんとに、なのか?」
「そうだよ?」
も、そっと手を差し出して
俺の背中にゆっくりと腕を回した
「・・・ただいま。てっちゃん。」
「・・・」
俺はずっと、ずっと
を抱きしめた
何十秒・・・いや、何分たっただろう
俺はが身じろぎをしたのに反応して
腕の力を少しだけ緩めてみた
「・・・っ」
の唇が
強引に俺の唇に迫る
懐かしいキス
・・・でも、俺は違和感を覚える
唇が離れてから
俺は、いつものように抱き寄せずに
顔を離して彼女の顔を覗き込む
が瞬きをした瞬間に
涙が一粒、もう一粒・・・
頬をつたって落ちてゆく
は無表情だ
は微笑まない
はもう、瞬きすらしない
「・・・。」
「ごめんなさいてっちゃん・・・あたし・・・」
最後ののセリフが
何だかステレオの中の音声のように
曇りがかってよく聴こえない
「、聴こえねぇ・・・何泣いてんだよ?」
「・・・さよぅ・・ら・・」
「え!?聴こえねぇよっ、やめろよ・・・そんな顔すんな!!」
がばっ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・何だ?」
起き上がると
もとの寝ていた部屋だった
静まり返った部屋
窓から明け方の弱弱しい光だけが差し込む
何か聴こえると思って耳をすますと
それは自分の心臓の音だった
「?」
の姿がない
たった今まで抱き寄せていた体
くちづけていた唇
泣いてた瞳
俺を呼んでいた声
俺を呼んで、ごめんと言った
の声・・・
「・・・っ!!!」
俺は今度こそ飛び起きて寝室を飛び出した
Thank you very much!!
リクエストありがとうございます。
そしてお待たせしました、リク作品をアップさせていただきます。
リクはてっちゃん作品で「痛い」をテーマに、でした。
彼女が何故、どこへ、どんな風に消えたのかは皆さんの
ご想像にお任せしています。
別れがやってきて、部屋をそっと出て行ったのかもしれない。
あるいはもうこの世から消えてしまったのかも・・・
わかってはいるものの心が受け入れてくれない。
胸が痛むのは、やっぱり大切なものを失った時ですね。
少し、暗めな話になっちゃってごめんなさいm(_ _)m
いかがでしょうか???
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