バカの背中










最近、ちょっと冷たいんじゃない?





最近、私たち全然会えてないんじゃない?





もうちょっと考えてくれてもよくない??











今夜こそ



言ってやろうと思って



会おうって電話したのに















なんでその会う場所が居酒屋なのよ



なんでこの男はこんなにいいペースで呑んでんのよ



















「聞いてる!?てつや!!」


「ん?聞いてる〜。」


「今日は真面目な話がしたいの!」


「おっけぃおっけぃ!」


「・・・酔ってちゃ話せない。」


「あ??大丈夫!だぁいじょうぶい!ひゃははっ」


「てつや、あのねぇ」


「んー?」


「あの・・・」








言いかけた途端


隣の座敷で飲んでいた学生が


騒ぎ出す








「んもう!うるさいな!!」


「まぁまぁ、あんま怒るなよ。やらせといてやれ。」


「だって話が・・・」


「麻衣子、俺もう一杯呑みたい。だめ?」


「だめ。もう帰る。」


「えっ、帰っちゃうの?送ってくぞぉ〜・・・」


「ばか!てつやも帰るのよ!!」


「えぇ〜・・・」

















もう!





飲んでる場合じゃないのに


ここ数日ずっと








私は





ずっと悩んでたのに・・・






































店を出て



夜の舗道をふたりで歩く






「麻衣子〜、今日泊まってくか!?」


「話がまとまったらね。」


「なんだよ〜さっきから。早く言えよ〜。」


「だから・・・」














いざ言おうとすると


てつやの顔が迫る


夜だから暗いけど


酔った時のてつやの表情はとても切なくて


とても傷付いた時の表情になる














言えない





けど





言いたい

















「てつ・・・っ」











言いかけた途端


てつやの大きな体はぐらりと揺れて


その場に膝から崩れかかった











「ちょっと!てつや、大丈夫!?」


「ん〜・・・気持ちわりぃ・・・」


「ばか!飲みすぎよ!肩貸すから、ホラ立って?お願いだからこんなとこで・・・」

















「ひゃっ!!」

















てつやの腕を持ち上げて


抱き起こそうとした時だった











てつやは私をつかんで


自分の背中にまわした








「ちょ・・・何すんの!?」


「おんぶ!」


「そんな事は判ってるよ!」


「ひゃはは!」


「おろして!おろしてよ!!」


「・・・やだね。麻衣子が話すまで降ろさない。」


「え・・。」


「面と向かってるから話せねえんだな。今しかねぇぞ、言え。」


「・・・酔ってる?」


「酔ってねぇ。ちょっと足がふらつくけど。」


「それ酔ってんだよ。」


「違う。お前が重いんだ。」


「ばか!!重いなら降ろしてよ!」


「早く言えっつーの!」


「・・・っ」



































酔ってる





てつやは酔ってる











でも








言わなきゃ














だって








言わなきゃ私達ダメになる



































そんなの











嫌だ


















































「・・・言う。」


「・・・・」


「・・・言うよ。」


「・・・・」


「・・・」


「早く言えよっ。待ってんだよ。」


「明日目覚めたら忘れてたとか嫌だよ!?」


「わかんねえ。けど今は一応冷静なつもり。」


「・・・何じゃそら。」


「言えよ。」


「・・・・・・」


「言え。」









































「・・・・てつや。」





「・・・ん?」







































































「会いたい。」








「会ってるじゃん。」








「もっと会いたい。」








「・・・・」








「足りないよ。会いたいよ。てっちゃん・・・」


















































「・・・・俺も。」





「え。」





「俺も。もっともっと麻衣子に会いてえわ。」





「・・・」





「今日は久々に会ったらな・・・その、絶対俺こういう事言っちゃいそうだったから。」





「うん。」





「だから、飲んでた・・・のかも。」





「うん・・・うん。」





「けど、飲んだらもっと言いたくなった。」





「うん。」





「ていうか・・・言えそうな気がしてよ。」





「うん・・・」





「言っちまったわ。あーはずかし。」





「いいじゃん。顔、見えないんだし。」





「ん。まあな。」





「でも、私今てつやの顔、見たい。」





「だめ。」





「え!何で。」





「何でも。」





「見たい。」





「・・・降りるか?」





「・・・降りない。」





「ははっ。どっちだよ。」





「だって!・・・ここ、落ち着く。安心、する。」























てつやは



私をおぶったまま



家まで



ゆっくり歩いた















たまに歌ったり



たまに黙って



たまに歌って



たまに黙った



















「麻衣子ぉ。」



「何?」



「泣いてんの?」



「・・・泣いて・・・る。」



「はは、ばーか。」



「ばかって言うな。」



「ばかだよお前。」



「・・バカじゃ、ないもん。」



「・・・俺なんかに泣くほど惚れて。ほんとバカ。」



「・・・そんな」



「・・・俺、もっと、バカだわな。」



























顔は見えなかったけど







てつやの背中にいて







てつやが自分を責めているのが







すごく判って



















「ごめん」って



どこかから



てつやの声で



聞こえた気がした



























「・・・バカップルだね。」



「ははっ」



「てつやのばか。」



「ははっ。もう寝ろ。着いたら起こしてやるから。」



「うん。」



「よだれ垂らすなよ。」



「垂らさないよ。・・・ばか。」

































○●Thank you very much!!●○



4000hit踏んでくださった村上まことさまへ!
大変お待たせいたしました!!!
かろうじてメモってあったので、こちらは再カキコはありませんが
書かせていただきましたよ☆☆
「てっちゃんにおんぶされる」っていうリクだったと思います。
まこと、いかがですかぁー??(^−^)
まことにはたくさんリク頂いてるので、もっと頑張らなきゃです!
よろしかったら皆さん、感想いただけるとうれしいなc


村上まことさんへ>>

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