Kiss・kiss・kiss





「てつや、もっとそっち行ってよ。」


「・・・んー。」


「ちょっとどいてくれる?私が寝れないよ。」


「おー・・・」






うつぶせで寝ていたてつやが


もそもそと布団の中を移動する






「ありがと。」











同じベッドで寝るのも大変




てつやは体が大きいから


たまにどっちかがベッドから落ちたりする


重なり合える日は、そうでもないけれど








今日は私が無理な日だから。















気付くと、


てつやは相変わらずうつぶせにつっぷして寝てる


枕に顔をうずめたままで







「てつや、苦しくないの?そんな寝方して。」


「・・・」


「てつや?」


「ん゛ー・・・」











顔を埋めているから


声にならない声で返事をするてつや





枕に顔を埋めたままで枕を両手に抱くと


てつやは駄々をこねるように


枕に押し付けたままの顔をゆっくり左右に動かした










「?・・・」








それが何だか


涙を拭うような仕草に似ていて








「・・・てっちゃん?」





自然とかける声も優しくなる





てっちゃんなんて呼んだの


久しぶりだな・・・
















私が呼んだ途端に


てつやの顔の動きが止まって





「・・・?大丈夫?」




てつやの肩にそっと


手を触れてみる、と、




てつやは小さな目を少しのぞかせてこちらを見た























「てつや?・・・!!!」








がばっ








目が合った瞬間




一瞬にして


私の視界はてつやの広い胸に閉じ込められる















そしてすぐに


てつやの心臓の音が





耳に届いた













「・・・・てつや。」





「・・・・」








てつやは自分を落ち着かせるように


ゆっくり、ゆっくりと



肩で大きく息を吐く








私に覆い被さって


両手できつく抱いたまま


何度も呼吸を整える











「・・・どうしたの?」





そう訪ねると


てつやは腕をゆるめて私を見下ろした





その顔は


暗くてよく見えないけれど




何だかすごく


切なかった・・・








悲しくなるほど


痛くなるほど





切ない瞳をしているようだった

















「てつや?」





小さめの声で名を呼ぶと


てつやは自分のおでこと


私のおでこを静かにくっつけて目を閉じた








「・・・変なこと、言っていいか?」


「・・・なに?」





息も触れ合うところで


今度は鼻の先も触れ合った























「・・もう一回、てっちゃんて言って。」


「え?」





私が聞き返すと


少しためらった後





てつやは何かに耐える表情で


苦しそうに


それでも少し





うれしそうに











「言ってみ。」







「・・・てっちゃん。」








「・・・もっかい。」


「てっちゃん。」


「あと一回。」


「てっちゃん。」


「・・・あと、一回。」





「てっちゃ・・・っ」

















言い終わる前に





てつやは私の口をふさぐ








それは、てつやの唇が


すぐ近くにあったせいか




すごく自然で、優しいキスだった




















静かなときが過ぎて




静かで、温かい永い口づけが






やがて終わりを告げる

















「・・・っはぁ・・」


「やべ。鼻で息すんの忘れてた。」


「・・・私も。」





ふたり、目を見合わせてクスリと微笑む







呼吸も乱れているせいか


心臓を打つのが早い








ドキドキドキドキドキ





「麻衣子、ドキドキしすぎ。」







てつやはそっと


私の胸に触れて、そう言った








私もてつやの胸に触れて








「・・・何かあったの。」





なんとなく、


なんとなくだけれど


てつやの感情が揺れているのが判って


それがほとんど確信に近くて





「なんかあったように見える?」


「見える。」





少し間をあけて


てつやはうれしそうな苦笑いをした








「今日はダメな日?」


「・・・ダメな日。」





私の胸におかれたてつやの手


ゆっくりと首筋をつたって


私の頬を包んだ














「・・・残念。」


「残念でした。・・・でも」




『でも』に反応するてつや




「でも?でも、何してくれんの?」


「・・・キスなら、たくさんしてあげる。」














「・・・してくれんの?」




「してあげるよ?」







私ができるだけてつやを安心させる笑顔で


しっかりと答えると


てつやはとても嬉しそうにニヤけて








・・・でもそれも、ふいに消えて





さっきの痛く、切ない表情になる














切なくて、苦しそうに





眉間にしわを寄せて、目を閉じて





ぎゅっと口を結ぶと・・・

















そっと私の唇に





その唇を押し当てた
















唇が触れると


火がついたように、


てつやの口づけは激しさを増して














ぽっかりと空いてしまった部分を





必死に埋めるような








そんなキスで














私はてつやの心の穴を





埋めてあげたくて








そのキスに



たくさん、たくさん、





答えてあげた























私の唇に



たくさん


たくさん


たくさん





てつやは助けを求めたから














私は唇で




たくさん


たくさん


たくさん





てつやを助けてあげた























何も言わなくていいよ














ただ





キスを


キスを


キスを








キスを、した























○●Thank you very much!!●○


4400hit踏んでくださった環さまへ!
お待たせしました!!弱ったてっちゃんを慰める系のリクでした。
かんなりお待たせしてしまったんですが、環、どう???
何があったかとか、そんな事は書いた私的にはどうでもいいんですよね。
てっちゃんが1人でいられないほどの何かがあって、彼女が
その傷口をふさいであげられるならと、言葉よりも何よりもキスを選ぶ。
心で通じ合うふたりって凄く凄く憧れます。
好きなのに、相手の気持ちを読めない時って悲しすぎます。



環へ>>青也より。




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