このお話は「みそ汁」の続編です。

「ありがとう」















ゴー

ゴー













オフの朝

窓のカーテンは開いていて

いい朝陽が窓から差し込んで

部屋を包む






何の音だ?




ゴー

ゴー





ああ、美樹のそうじ機だ








そろそろ起きようか

昨日もその前も

仕事で美樹とゆっくりできなかったし











がちゃ

「おはよう。」

ゴー

ゴー

「おはよう。美樹?」

ゴー

ゴー



俺の声は聞こえないらしい










俺はなんとなく目の前にあった

そうじ機のコードを抜き取った



そうじ機の音がピタリとやむ


「?・・・あれ??」





美樹は首をかしげながら

スイッチを入れ直している





なんだ・・・まだ気付かないのか









「美樹!」

「わ!・・・陽一ぃ、いつもいつも驚かさないでよ〜。」

「あ、ごめん。どうやって気付かせようかと思って。」

「・・・それでコード抜いたの?」

「ウン。」

「ぷっ・・・やだ〜〜っ、子供じゃないんだから!」





美樹はかわいらしくクスクス笑う



口にそえた手の指には

小さなバンソーコーが見えた


「あ、指大丈夫?」

「へ?」

「やけどの指・・・」

「あぁ!もう全然大丈夫。」

「よかった。」










彼女は数日前、指をヤケドした

俺にとびっきりうまいみそ汁を作ってくれた日だ







「顔洗ってくる。」

「はーい。」



タオルを出して

洗面台の鏡の前に立つ


・・・・ん?

またちょっと痩せちゃったか?

やばいな

最近忙しいしな






薬指から指輪をはずして

洗面台の脇に置く

朝は冷たい水で顔を洗うのが一番だ










俺はこのトキ、

指輪がなんらかの拍子に

床に落ちたことに気付かなかったんだ











「ああああ!!!!」













後ろで再びそうじ機をかけ初めていた美樹が叫ぶ



「なに?どうした?」

「・・・・よ、陽一、今、指輪してる??」

「ん。いや、今ここに置い・・・あれ?」

置いたはずのところにない

俺は顔をタオルで拭きながら探す

「あれ?ない。ここに置いといて・・・落ちたのかな?」

「・・・陽一ごめん。」

「ん?」

「今・・・多分、この子が吸っちゃった・・・。」

「・・・え?」







美樹の言う『この子』というのが

そうじ機だということに

気付くのに数秒かかった












*****************************










「ねぇ、美樹もういいって。」

「よくない!!」

「美樹、エプロン汚れるよ。」

「エプロンは汚れるためにあるんです!」

「あぁ。なるほど。」



いやいや

感心してる場合じゃなくて





美樹は今何をしてるのかというと

なんと床に新聞紙を広げて

そうじ機の中身を全部ばらしている



そう

指輪の発掘にあたっているのだ





しかも俺もやろうと近づくと


「ほこりは喉に悪いからだめ!!」


だそうだ




俺はそのせいで近づくことすら許されず

数メートル離れたソファから彼女を見守る






「ないよ〜・・・」



ほこりで涙目になりながら

必死に探す美樹


その後姿がかわいくて

抱き寄せたくなる






「ねぇ美樹。」

「ん〜・・?」

「みそ汁、今日作ってある?」

「みそ汁?あるよ。お鍋に入ってるから食べて。」

「いや、まだいいよ。一緒に食べよ。」

「けど、まだ当分かかるよ?見つかるまで。」

「いいよ。待ってる。」

「ありがと!」





それが楽しみで早起きしたようなもんだしね













チッ  チッ  チッ  チッ











時計の音だけが部屋に響く

うちの朝はなぜかTVをつけない

別に嫌いなわけじゃないけど

2人ともなんとなくそうしている







そうするとなんとなく

時間がゆっくり流れる気がして
















「ねぇ陽一。」

「ん?」

「この前にさ、聞いたよね?」

「何を?」

「私に、『プロポーズの後に言った台詞覚えてるか』って。」

「あぁ、聞いたねえ。」

「あれ、思い出したよ。私。」

「ほんとに!?」











そう

俺は1年前、美樹にプロポーズした後









「めちゃめちゃうまいみそ汁毎日作ってよ。」









って言ったんだ

いざ思い出されるとなかなか恥ずかしい






「ずっと考えてたんだ。なんで陽一あんな事聞いたんだろって。」

「うん。」

「私の・・・さ。」

「ん?」

「私の、あの時のみそ汁、そんなにおいしかった??」

「めちゃめちゃおいしかった!」










俺が大きく首を縦に振ると

彼女はめちゃめちゃ嬉しそうな顔で

笑った












やばい・・・










かわいすぎるって















いても立ってもいられず

美樹に歩み寄った




その時
















コン、、、




ころころころ











「あ!!!!!!」











見覚えのある指輪が

美樹の持っていたゴミの固まりから

床に転がり落ちた





「あった!あったよ陽一!あったよぉ!!」

「ほんとだ!」







全く

これから人が抱きしめようって時に

子供のようなはしゃぎよう





「よかった・・・ほんとによかったぁ。」




美樹は指輪を両手で固く握りしめる



その目には、ほこりのせいか喜びからか

うっすらと涙が浮かぶ







その目が


その美樹の目が


その指輪よりもずっと


ずっとキレイで


なんだか描写がクサくて


申し訳ないけど



本当にキレイで










「美樹。」

「?」




振り返った彼女に







感謝と




愛しさをこめて






軽く、やさしい、



まるで


外国の小さな子供が交わすような




くちづけを、、、、









「見つけてくれてありがとう。」











○●Thank you very much!!●○



600hit踏んでくださった美樹さまへ!
お待たせしましたv北山氏お相手で「みそ汁」続編というリクでした。
常連様ならではのリク、ありがたいですねぇ★
いかがでしたでしょうか??ちゃんと続編になっているでしょうか??(悩)
とにかく「幸せならなんでもいい!」との事だったので、思いきり北山氏に愛してもらいました!
ただひとつ問題が・・・。
男は結婚指輪こんなかわいいのつけませんよねぇ??(滝汗)


キタマニの美樹さんへ>>

もどる


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送