Color.










「今日も、帰っちゃうわけ?」





できるだけ何でもない事のように言ってみる


でないと今にも狂いだしそうなこの情熱が 溢れて

あなたに牙をむきそうだから







「・・・えぇ。」








あなたは俺に背を向けたままうなづく


そりゃないだろ?



せめてこっちを見てくれ




願わくば、息がつまるほど

見つめてほしい









俺らの間には常に壁がある


見えない壁ならばまだ質がいい


目に見える壁


それは大きく、そして時に


少し手を触れただけで崩れ去りそうな


そんな壁だ










「私に会って・・・楽しい?」









何を言ってるんだよこの女は


楽しいどころの問題じゃないさ






子供のように転げまわりたいくらい

至福の時だ









「なんでそゆ事聞くわけ?」

「だって・・・。」

「だって??」

「私はもう・・・若くはないわ。」









くだらない



くだらないよ




俺がどんなに


そんなあなたに夢中か知ってるくせに









「私には守りたいものがある。あなたにもあるでしょう?」

「守りたいもの?何だよ?」

「これよ。」





あなたは薬指の小石を見つめる

そんなもの見ずに

俺を見てくれよ

あなたには、帰るべき暖かい家があるからな





それが確実に、明らかに、




俺とあなたの、壁













ほら、目に見えるだろう?








ひとつになれない訳が。













「俺は、・・・俺は全部捨ててもいいって、思ってるよ。」

「何言ってるの・・・?」



あなたの顔色が変わる

やっと俺をまっすぐに見つめてくれたね





「あなたと、一緒にいるためなら・・・唄を捨てたってかまわない。」

「何言ってるの!??そんな事、容易に言うものじゃないわ!!!」

ばんっ

「じゃぁどうしろって・・・!!!!」


拳でサイドテーブルを殴りつける





あなたのかん高い声が

俺の神経を逆撫でるんだ





俺の腕の中で、その声出させてやろうか?












「・・・・やめよう。もう、やめよう。」


「・・・・。」




「こうやって、会うのも。こうやって、怒鳴りあうのも。」


「・・・・。」




「もう・・・これ以上一緒にいたら、ダメになる。」


「・・・・。」




「好きだけで踏み切れるほど、子供じゃないでしょう?私たち。」


「・・・・。」









あなたは静かにためいきをつく



その溜息の中に

まだ出逢った頃の情熱が隠れていると信じたい







あなたのその瞳を、溜息を必死に探るけど

見えるのはただ、この先に別れのみが待っている

そんな悲しい色ばかり













「もう帰らなきゃ。あの子達が待ってるから。」



あなたが立ち上がる



テーブルの上に出していた

ライターと、携帯電話を静かにバッグにしまう



コートを持ち上げて



もう二度と会えないというような

まなざしを向ける













なぁ、美沙紀さん・・・






本当に俺から逃れたいのなら








どうしてそんな目をするんだ


















俺は

強く、強く、強く


彼女を抱いた













彼女は動かない


まるで子供が泣きやむのを


待つかのように


俺の背中に腕を回して



ゆっくりと撫で上げた

















いいよ・・・




もういい




もう充分だ













あなたのためなら全て捨てる覚悟だったけど


あなたは俺と同じ覚悟をするだけの情熱を持ち合わせていなかった









ただ・・・それだけの事じゃねぇか









「・・・もう、わかったよ。美沙紀さんの守りたいもんは、よく判った。」


「てつやくん・・・」


「だから・・・だからその、母親みたいな手つきはやめてくれ。」


「・・・。」


「耐えられない。」









『私はもう・・・若くないわ。』









さっきのあなたの言葉が、胸を痛く漂うから








「・・・・・。」




「・・・仕方ないわよね。私、人の親だものね・・・。」

















「美沙紀さん・・・。」



「ん?」



「今夜だけ、帰らないでくれないか。」



「・・・でも」



「何もいらないから!・・・あなたの守りたいものは、俺が守ってみせる。何も、しないで、眠らないか。」



「・・・今日、だけよ。」

















その夜





俺は夢を見た







ろくに触れる事すら許されなかったあなたに














一度きり





くちづける夢を












俺を愛してくれないか









俺を愛してくれないか









何もいらないから






ただ、そんなに色褪せないで







夢の中だけでもいい






色鮮やかに生きてくれないか








その夜の夢は



いつまでも


いつまでも






色褪せたあなただけが















そこにいた









○●Thank you very much!!●○



777hit踏んでくださった哲娘さまへ!
お待たせしました!!初のキリリクてっちゃん作品です!
「告白」をテーマにというリクをいただきましたが・・・
頑張ってみたつもりなんですが・・・いかがでしょうか???
なんだか寂しい感じや、熱い部分や、愛に飢えた部分が丸出しですが
村上氏らしくいきたいと思いながら作ったらこうなっちゃいました。
結構自分的に好きな言い回しがたくさん生まれた作品です。
とは言っても、リクしてくださった方にご満足いただけなければ意味がありませんが。。。
感想いただけたら嬉しいです。


テツマニの哲娘さんへ>>壱川ともより。




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