鏡ごしチョコ経由の、告白












男にとってモテるってどういうこと?



たくさんチョコをもらうこと?



自分の好きな子からチョコがもらえること?





あの人は、どっちだろう??











「北山くん、そんな小さいバッグで来ていいの?」

「・・・なにが?」

「今日が何の日か知ってるでしょ?」

「・・・あぁ。別に、そんなにもらわないしね。」

「うそ、村上さん言ってたわよ。去年は持ちきれなかったって。」

「そんなの信じてるの?てっちゃんの言う事間に受けたらだめだよ。」

「うそなの!?」

「うそうそ!」

「な〜んだ。」







けどやっぱり・・・けっこうもらうんでしょ??







なんて、そんなこと「ヘアメイク」の分際で

聞けるはずもなくて



彼の柔らかな髪に今日も

触れながら




この想いを胸にしまうんだ







「めぐみさんは誰かにあげないの?」

目の前の鏡ごしに私を見て彼は聞いた

「私は・・・スタッフのみんなにあげるわ」

「あは、そうじゃなくってさ。特別にあげたい人、いるでしょ?」





「え。」



いつもはそんなプライベートな事聞かないのに



「い・・・」





います?いません?

どうしよう・・・言ってしまおうか







本当は、あなたにあげたい・・・って







「い・・・」



コンコン、、

その時、メイク室のドアが2度鳴る

「はい」

彼が返事を返した


「ゴスペラーズの北山さん、こちらだと伺ったんですが・・・」

「あ、はい?僕ですけど。」

彼は立ち上がって、ドアに歩み寄った

ドアから顔を覗かせているのは小柄な女の子

あ・・・どこかで見たことある

とっても可愛くて、色白で、

そうだ・・・



確か新人のモデルさんだったはず





「あの、これ、作ったんですけど、食べていただけますか?」

やっぱりモテるんじゃない

「あ〜・・・ごめん。僕、食事制限というものしてて、ちょっと・・・」

「え・・・」

「ごめん。きっと食べられない。」







そっか・・・そうだったんだ

村上さんが言ってたのはきっと嘘じゃない

「持ちきれないほどもらった」んじゃなくて

「全部もらってたらきっと持ちきれなかっただろう」って事なんだな



私は、部屋の隅に置いてある自分のバッグに目をやる



あの中には

ひとつの包みがひそませてある

たった一人の人のための


ものが


思わず自嘲気味に笑ってしまう

私のチョコなんて

もらってくれるはずないのにね





「ごめんね、めぐみさん。続きどうぞ。」

彼は戻ってきて席に座る

「それで、いないの??」

北山くんはさっきの答えを聞きたがる



たった今断られるのを見て

何で「いる」なんて言える??







「い・・・ないわ」


「いないの?」

「うん、いないよ。仕事で手いっぱいだもの。」





ホントはあなたを想うのに手いっぱい・・・













少しの沈黙が流れる







嫌な間だわ















その時

何かを考え込んでいた北山くんが口を開く



「男ってさ」

「うん?」

「男にとってさ、バレンタインって一種の賭けみたいなもんなんだよね。」

「・・・?」

「どんなにたくさんチョコもらえても、その中に好きな子からのチョコがなきゃ意味がないっていうか」

「・・・うん」

「僕はさ、好きな子からのチョコしか受け取らないことにしてる。女の子のせっかくの告白を「賭け」呼ばわりできないし。」

「え。じゃあ食事制限って・・・」

「ああ。アレも本当だけどね。」

「・・・・」







彼は

何を

言おうとしてるんだろう?



「めぐみさん」


「は、はい!?」





やばい、私緊張してる・・・


声裏返っちゃったよ・・・




「つまり、何が言いたいかっていうとね。」



「は!?」




あぁ・・・

私何言ってるんだろう

「は!?」とか、ケンカ売ってるみたいじゃない(泣)

















「僕は、めぐみさんのチョコがほしい。」





















・・・え

・・・え、何?ちょっと待って



ちょっと待っ・・・




今、何を言ってくれたの、このひと





北山くんの瞳は

鏡ごしということを忘れるくらい

まっすぐ私を見ている



私が答えに困っていると

彼は今度は

首を反転させて、じかに私を見詰めた



もう何度も彼のヘアメイクをやっているけど

こんな風に振り返られたことははじめてで

私は思わず



呟いた













「あげる・・・」













その時の彼の笑顔は


まるで子供のようだった




鏡ごしチョコ経由の



そんな曖昧な告白







彼の笑顔で







私の心に







素直に、まっすぐに







「好き」が



入ってきた気がした










○●Thank you very much!!●○

80hitを踏んでくださったmegu.uさまへ!
お相手は北山さんで、おまかせという事で書かせていただきました。
まぁリクエストを頂いたのがちょうど2/14だったってだけなんですが
バレンタインネタでいっちゃいましたvvv
こんなんでももらっていただけますか???
北山さんらしい、まっすぐな好きを伝えたかったんです。



キタマニのmegu.uさまへ>>壱川ともより。


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送