笑顔の素敵な女の子



















「なんだお前、それ」


翌日仕事にいくと、まずてっちゃんが僕を指差した


「何?」
「何って、頭」
「うわー北山なんだよーケガ?」
「いたそー」
「あぁ、ちょっと」
「ちょっとナンだよ」
「ちょっと、てっちゃんみたいな目にあっちゃって」
「どゆこと?」
「痴漢とまちがわれた」
「え!?」


てっちゃん以外のみんなが同時に声をあげる


「おい北山、ちょっと待て。俺みたいってなんだ?」
「あれ?てっちゃんじゃなかった?警察に呼び止められたの」
「警察呼ばれたの北山!?」
「あぁ、うん、まあね」
「大丈夫だったの?」
「うん、そりゃ俺は無実だし。彼女の勘違いで済んだ」
「いや、済んでねぇだろ、お前のケガはどうなんの?」
「これ?あぁ、まぁ・・・そのうち治るしねぇ」
「お前女に甘すぎ・・・」
「別にそういうんじゃないよ。なんかすごい謝ってんの見てたらかわいそうになっちゃって」
「謝って済むなら警察いらねぇんだよ」
「うん。だから警察いらないなぁって帰した」
「そりゃお前の場合だけな!」
「だって本当にかわいそうだったんだよ。ハタチの女の子が一人暮らしだよ?」
「ハタチ!?あのマンションにハタチの女が住めるわけ?何者?キャバ嬢?」
「いやあのマンションじゃなくて、隣のアパート」
「あぁ、びびった」
「看護学生だって言ってた。ケガの手当てもその子がしてくれたんだ」
「部屋にあがったわけ?」
「うん、手当てしてくれるって言うし。俺、血出てたし」
「・・・お前、気をつけろよ。グループの名を汚すマネだけはすんな?」
「なんだそりゃ」
「今時の若者は何考えてるかわかんねぇってことだよ」


てっちゃんはそれだけ言うと
「便所!」とだけ言ってスタジオを出て行った




ヤスがぽつりと僕に言った


「テツさ、こないだ街で女子高生に勝手に写メとられて相当ショックだったみたい」
「は?それだけのことで?」
「案外ナイーブじゃん」
「いや、しかもそれが回りまわってなんか落書きとかされてたらしい」
「うわーかわいそう」
「それにしたって引きずりすぎだろ、そろそろ一ヶ月経つよ」
「そんな前?俺知らなかった」
「だって誰にも言うなって言ってたもん」
「なんでヤスは知ってんの」
「俺の母親に写メがまわってきたから」
「なんで東京の女子高生からはじまってヤスの母ちゃんにたどり着くわけ?」
「知らないよーこっちが聞きたい」
「いやぁこわいね、ほんと」




みんなのいつも通りの会話を聞きながら
もう一度、昨日の彼女の顔や話し方を
しっかりと思い出してみる


少なくともみんなやてっちゃんが言うような 危なげな若者って感じではなかった
僕の見る目が正しければの話だが
大体、人柄というのは目を見て話せばわかる
きちんとまっすぐに目を見て話せるか、
相手の切り出した話題をもらさず拾えるか、
笑顔を向けてくれるか、 瞳は輝いているか・・・





彼女の瞳を思い出す
それはとても輝いていた


まれにいるのだ
あんなふうに、少し目尻を下げるだけで
キラキラと瞳を輝かせることのできる
一度会ったら忘れないタイプの女の子が




「本当に、ちゃんと行ってくださいね。病院」




彼女の言葉を思い出して
僕は、時計をのぞきこんで
頭の中で、仕事の後に病院に立ち寄る予定を立てた



























































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(c)君に僕のラストソングを


photo by <NOION>
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