ダブルクリック
























「式の準備すすんでんのか?」


時刻は夜の10:30

移動中の車の中で

唐突に村上は俺に問う





「あぁ。まぁそこそこ。」


「ふぅん。」





なんだろう?突然


今までそんな事興味なしって感じだったのに











「もう一緒に暮らしてんでしょ?」


今度は安岡

身を乗り出して

俺に問う





「あぁ。」


「じゃあ今も家で待ってんだ?」





なんだ?











「黒ぽん。」


「なんだよ次は?」


次は酒井

俺の後部座席から

首だけ出して俺を呼ぶ





「・・・猫は好きですか。」


「なんなんだよそれ。好きだよ。」





妖しすぎる・・・



















次は北山かと思いきや

北山は酒井の隣の後部座席でさっきからヘッドホンをつけて

ノートパソコンを開いて何か作業中だった





村上は顔を背けて窓の外を見てるし

安はやたら笑いをこらえた顔してる

酒井は時おり北山のパソコンを覗き

何か口を出している








「お前ら、気持ち悪いよ。」

「何がだよ。」

「だって気持ち悪いよ。なに?何か隠してんの?」

「なぁんにも〜。」

「・・・ヘンな奴ら。」

「あ、黒沢、お前ここからなら自宅のが近いだろ。」

「ん?あ、ほんとだ。」

スタッフ「あ、じゃあ黒沢さんのお宅まで回りますか?」

「あ、ヨロシク〜。よかった、スタジオ戻ると遠回りなんだよ。」





村上今日は気が利くなー

















スタッフ「着きましたよ。」

「ありがとう。助かったよ。じゃ、みんなお疲れ〜。」

「はい、お疲れ〜。」



「あ、黒ぽん!」



それまで後部座席で作業していた北山が

突然俺を呼び止める


「ん?」

「はい、これ。」




ん?


手渡されたのは小さくたたんだ紙





「あ!開けちゃだめ。家帰ってから見て。」

「???あぁ。」

「なくさないようにね。」

「うん。」

「ポケットしまったまま洗濯しないように。」

「しないよ。」

「食べないように。」

「食べないよ!」

「(笑)じゃあ、お疲れ。」

「なんだよ〜、お疲れ!」




バタン







村「ばか、ヤス。お前バレバレなんだよ。」

安「え!俺?」

村「ヘンな顔してんじゃねぇよ。」

安「してないよ!」

酒「黒ぽんにしちゃ今日はちょっと鋭かったね。」

村「何か隠してんの?ってな。」

安「ドキドキしちゃったよ〜。」

村「で、北山、できた?」

北「いや、まだ。」

村「おい早くしろよ!もう家入っちゃったじゃん!」

安「ちゃんと見るかな?黒ぽん。」

北「見るでしょ。」

酒「さっき見方説明したメモ渡したし。」

安「あ、あれってそうだったの?」

村「おい、北山まだかよ?」

北「ちょっと待ってよ。今の今まで作ってたんだって。ラストがうまくいかなくて。」

村「早く送れよ。」

酒「焦るなリーダー。」

安「あ!テツ、押しちゃだめだって。」

北「やめてよてっちゃん。」

村「早くしろ。」

安「まだ?北山。」

北「もうちょっと・・・」

村「おせぇよ。」

酒「コラコラせかしちゃいかん。」

安「はやく〜〜っ。」





北「送れた!!!」





スタッフ「・・・あの〜〜、さっきからパソコン向かって4人で何やってんすか?」





4人「何にも。」


























ガチャ




「ただいま〜〜。」


時刻は夜11:00

さすがに愛しい人の返事はない




「寝ちゃったか・・・。」





少しがっかりして

部屋にあがる


部屋の電気をつけると

キレイに片付けられたキッチン

テーブルの上には可愛らしい花が飾られていた


1人暮らしの頃とは違った空間に

これからの暮らしの華やかさを思い浮かべる





これからは・・・


彼女がずっとそばに・・・

















「あ、そうだ。」




俺はさっき北山に手渡された紙を思い出す


ポケットから出して広げると


そこには何やら箇条書きに説明が書かれていた








「・・・添付メールの、開き方?」




そして手紙の隅っこには小さく


『彼女が眠っているのなら、パソコンの音量をなるべく小さくするように』


と、書かれていた








「あぁ、パソコンのことか。」




俺は部屋を移動して

パソコンのある部屋に入る





車内のメンバーの怪しげな様子と

北山のくれた手紙

それにパソコンのメール


何だか不思議な緊張と、興味が沸いた











『yoichi kitayama   22:57』


「・・・あ、やっぱり。」


受信ボックスではやはり一番最後に

北山のメールを受け取っていた

しかもついさっきじゃないか











「んーと、だぶるくりっく・・・」


そこには数行のメールが表示された











『     黒沢 薫 様


婚約おめでとう。
シャイで照れ屋な4人の歌うたいから
プレゼントが届いています。
さっき仲間からもらったメモの通りに
作業を続けてください。

忘れっぽいあなたには、仲間も彼女も手を焼いていますよ。

では。おやすみなさい。                    』





「・・・」




何これ???


なんかなにげに失礼だし


しかもなんでこんな他人行儀なんだ?





まぁいいや


とにかく先へ進もう











「『添付』をクリック・・・」

「んで、『添付音声を開く』をダブルクリック・・・」


























「・・・『再生』を、クリック・・・」














ぽち。














「♪たくさんの力が 君と僕に芽生えて

見たことのなかった夢をかなえる

最高の魔法で


あたらしい世界で 君を両手に抱いて

世界一 短い誓いをするよ

誰よりも 好きだよ」





北「はい、という事で、黒ぽんおめでとう!」

安「おめでとう〜!」

酒「祝!祝!」

村「・・・・・俺がリードです。」

安「こら!てっちゃん、そういう事言わないの!」

村「んだよ黒沢、先かよ。あれほど先にいっちゃうなよって言ったのに。」

酒「言ってない言ってない。」

安「ごめんなさいねー、黒ぽん。こんなんで。」

村「♪愛してる〜って〜最近、言わ〜なくなぁったの〜はぁ〜〜」

安「てっちゃん酔ってます。」

酒「奥さん泣かしたら酒井雄二が許しません。」

安・北「おぉ〜。」

安「言うねぇ。」

村「♪本当に〜、あな〜たをぉ」

安「だからてっちゃんうるさいって!!祝福する気あんのか!?」

村「♪すいこ〜まれ〜てく〜ぅ」

北「えーと、ここはスタジオなんですが、そろそろ黒ぽんが帰ってきちゃうんで(笑)このへんで。」

安「じゃ〜ね〜!」

村「♪約束した〜んだ〜、これから2度とぉはな〜さな〜いとぉぉ」








プツッ




















部屋に








静けさが








広がる



































「・・・・・」












どうしよう・・・












「・・・ハハ、なんだよ、こりゃ。」












胸が・・・












「・・・・とりあえず。」












いっぱいだ












「・・・もう一回聞こう。」





















ぽち。

























黒ぽん誕生日祝い作品はどこへやら・・・
こんな作品を、去年書いていました。
かなり昔の作品。まだまだヒヨッコな頃に書きましたね。
けどほとんどいじらずに載せれたって事はそれなりに
気に入ってるって事でしょうかね??
こういうなにげな5人の仲良しストーリーに好き。
私的にポイントは、4人のメッセージの最後に切れる直前まで
ほとんど喋らずに歌い続けたてっちゃんの気持ち。
声の限り歌ったてっちゃんの気持ち。ですかね。


※ページを閉じてください。

PHOTO by[cool&warm]


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