惚れた弱味













あぁ、
やられた。


もう何百回も受けてきた感触を俺は今日また感じている




俺はこれを感じてしまうと受けて立たずにはいられなくなる

ほとんど病気かと思うようなこともあるが

底なしの意欲と、凄まじい使命感にかきたてられる

”彼女”に言わせれば、まさに俺の弱味であるらしいが





「いいでしょ。行こうよ。」


なんの企みもない無邪気な目でそう言う彼女
俺はテーブルごしに、彼女を見返す



騙されるな、俺

ここで立ち上がれば一生この弱味握られたままになるぞ



「今から京都?」

「うん。めったにないでしょ二人ともお休みなんて。」

「けどお前・・・今日、六本木のカフェいきたいって言ってたじゃん。」

「そんなの今度友達と行くわ。」

「でもさ・・・」

「だめ?」



そう言って覗き込む彼女の目は

まるで道に迷った子供、捨てられた子犬みたいな目


俺はいつからこんなに甘くなったんだ

昔の彼女はこんなに甘やかした記憶はねぇんだけどな


そう考えてる頭の片方で

すでに京都行きの日帰りプランが構想を練り始めている


そうなったが最後、俺の負けだ




「湯豆腐、食べようよ。」


まただ

特に甘えた口調でもないくせに、放ってはおけなくなるのが
こいつの魅力だった

それを知ってて、もう5年もつきあってる




      こりゃ一生、こいつの面倒みるしかねぇな・・・




諦めにも似た気持ちが俺を幸福と共につつみこむ








「てっちゃん。」

「あーわかったよ。さっさと支度しろ。」

「やった!」


かわいげもくそもない声をあげた上、ガッツポーズをみせて立ち上がる彼女



あぁ〜せっかくのオフが・・・

ほしいCD、いきたい店、会いたい友達
金はあるが時間がない

仕事とこいつのせいで・・・



「18時にお店予約しちゃったから、急いで行こうねてっちゃん!」


部屋から顔を出して俺を急かす彼女
このアマ、ちゃっかりしてやがる


「任せろって。」


それで急いで支度する俺も俺だわな。





いいんだ

彼女は俺にしか甘えられないこともわかってる

弱味を握ってるのはこっちの方かもしれないなと思いながら

俺は買ったばかりのシャツをおろした





それはもちろん、彼女が選んだ彼女好みの、色の。















超?短編。てっちゃん作品です。
惚れた弱味ってこういうことを言うんでしょうね。





photo by [encore]

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