俺の新大阪

































首の中の隙間を


鋭い風が吹き抜ける








「さむっ。」














俺は駅のホームのベンチで座り


厚手のジャケットにマフラーを巻いて


肩をすくめた格好でじっとする








駅のホームってのは


何でこうも寒々しいもんかね





こんな風に客をさらして


もっとサービス性っつーもんを追求してくれ

















でも、ま










あそこの二人にとっては





いい演出効果かもな











俺のいるホームのベンチから


ほんの十数メートル離れたベンチに


寄り添って手を繋いだカップルがいる








ふたりはずっと言葉を交わさずに


ただじっと互いの存在を刻み込むように


手を取り合っている

















実は俺がこんな寒いところで


じっと大人しく座っている理由は








これなんだ























あの二人は


実は数分前までは会話をしていて








俺の耳に聞こえてきた女の台詞





「今年会えるの、これが最後だね。」














どこかで聞いた台詞なんだ・・・








思い出せない記憶を手繰り寄せるように




俺は二人の近くに




さりげなく腰を降ろした























女の言葉を合図に




ふたりの沈黙が始まって










この別れの大きさを




今きっとふつふつと感じ取っているのだろう





























やがて、新幹線がホームに冷たく滑り込む





二人にとってそれはまるで





愛しい人を連れ去ってしまう


悪魔の使いのように見える事だろう











立ち上がる女




その手を握ったまま見つめる男




















あぁ、





見てらんねぇよ、、、

















いやでも思い出すじゃねぇか








あいつの事を・・・


























遠すぎたあいつ





優しすぎたあいつ





泣き虫だったあいつ





俺を好きでしょうがなかったあいつ





大好きだった、あいつ




















「悪魔の使い」が口を開けて




女を待つ









二人は最後の抱擁と





最後のくちづけをして














ゆっくりとその手を離した





























「悪魔の使い」は口を閉じて





満足したように悲鳴をあげて





女を連れて





男を置いて








遠い行方の旅に出る



































「・・・さて、と。」








俺は残された男を見ないように





ゆっくり立ち上がり










ポケットに手を入れたまま





男に背を向けて歩く






































わりぃけど





お前の最後までは見届けてやれねぇよ











あいつとつきあってた頃の





今みたいなあいつとの別れの後





俺がどんなにその場で立ち尽くして





どんなにみじめな背中をしてたか






今更見せ付けられるなんてごめんだからな














なぁ、少年




辛いのは判るよ





さみしいのも判るさ





そういう時はな、あったけぇコーヒーでも



買ってよ







寂しく帰って


部屋で彼女の好きな曲でも聴きながら





彼女と交わした会話の一片一片を


1人寂しく思い出してろ




















あの頃の俺が、








そうしてたようにさ




































もちろん新大阪をモデルにして書きました。
この曲作りにはてっちゃんの学生時代の思い出も少し
混じっているらしく、、、思い出系でいってみました。
てっちゃんの1人哀愁漂う系が好きなんだよね。
ひとり呟き系?って感じの。
冬の夜が似合うかなって。


2003.11.06 PM0:34

※ページを閉じてください。

PHOTO by[cool&warm]

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