” と く べ つ ”













ゆるいパーマがかった髪

丸いあごのライン

きれいな高い声

長い指・・・



見つめて返すその目はいつだって何かを訴えてた
そのすべてをすくい取ったつもりでいたけど
思いがけずその瞳から涙がこぼれたことが何度もあった
それは、君が僕にとって”いちばん”じゃなかったとき
君が泣く訳は、いつだってそうだった


でもたしかに君は僕の”いちばん”じゃなかった
君がひとり背中を丸めて待ってることを知りながら
仕事に支配されるがままになっていたころ
しようと思えばできた連絡も気遣いも、全て突き放した夜
僕は幾度もひざを抱えた
君の泣く訳は、いつだって、わかってた






でもわかって

”いちばん”じゃないけど、君はまさしく、そう

いつだって僕の”とくべつ”ではあったはずだ




ゆるいパーマがかった髪

丸いあごのライン

きれいな高い声

長い指先

三日月になる瞳、うすい唇、きみのなまえ・・・





君の好きなところに、順位がつけられないのと同じ
どれがいちばんかなんて決められない
愛すべきものたちの中で僕が生きているからこそ
君は僕を愛してくれたんだよね

君が愛してくれたから、今僕はそれらをより一層愛することができるんだ




だからわかって

”いちばん”じゃないけど、君はまさしく、そう

いつだって僕の特別であるはずなんだ。















超短編シリーズ。酒井・北山・村上に続きまして安岡さんです。
テーマの弱点からは離れてみましたが。
安岡さんは限りなく彼女にやさしい気がします。そんな目をしています。





photo by [encore]

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