第 六 話












   菜緒へ


 Hello!!早紀です。
 元気?どんどん暑くなってくるけど、そちらはどう?
 夏休みはこっちに帰ってくるのかな?
 帰るならぜひご飯でも行こうよー。
 お酒とデザートがおいしいお店を見つけたよv
 ホットバナナパイがサイコーだよ(^3^-☆

 初恋の彼とはうまくいってるかな?
 菜緒の話をぜひぜひ聞きたいですっ。
 面とむかってだとあまり話してくれないけど、
 メールなら教えてくれるよね?笑

 赤裸々な告白を楽しみにしてマース♪

 ちゃんと返事ちょうだいよー!


            早紀

















明るく、飛び跳ねるような早紀の声が聞こえてきそうだ


わたしはパソコンの画面に向かって
ついつい頬をゆるませる





そんな早紀には申し訳ないけれど、
わたしはメールというものがあまり得意じゃないのだ
一通りメールを読んで、パソコンを閉じ
コーヒーをいれて、テレビをつけて
冷める前に飲み干して
一息ついて、もう一度パソコンの前に座る


それくらい時間をおかないと
返事を書く気になれない


















「早紀か・・・」





無意識に、わたしはつぶやいていた


早紀の、きらきらと動く大きな瞳を思い出す
てつやとの再会に戸惑ったわたしに
早紀は率直な言葉をくれた


早紀に何も打ち明けなければ
結果論ではあるかもしれないけれど
わたしにこんな結末は待っていなかったと思う




わたしには、この素直さが足りない
自分を解放する方法を知らなさすぎる
早紀を見ていると必ず思うことだ
彼女は一番、で、唯一の
自分自身を見つめさせる”女友達”であるかもしれない





わたしはキーボードの上に手をおき
いっきに指を走らせる

















   親愛なる 早紀


 おひさしぶり。
 いつもメールありがとう。
 早紀のメールは元気がでます。
 携帯みたいに、絵文字でカラフルじゃないのが残念。

 こっちは、かなり乾燥してるけど
 暑くなってきてるよ。
 オープンカフェも肌が焼けるので出ません。

 「初恋の人」 とは、なんとかうまくいっています。
 ようやく一緒になれて、すぐに遠距離恋愛。
 それでも平気にすごしてる私って、
 よっぽど恋愛体質じゃないのかも。  

 早紀こそ、どう?
 いい人はいないの?

 私にしてはちゃんと質問に答えたつもりなので
 次は早紀の恋愛模様を楽しみにしています。























・・・・



わたしは、ここまで文章を打って手を止めた

てつやのことを書いているくだりで
ひどく違和感を覚えたのだ








言いたい


友達に聞いてほしい










”「日本に帰る」という選択肢ができた”こと

”正直に言うと迷っている”こと

”迷っている自分に驚いている”こと




そして・・・




日本に帰ったあとの人生、を、覗いてみたい
そしてそれは、覗いたら最後
その波に乗っていくしかない

”いくしかない”なんて選択の仕方は
少なくとも今までの私にはなかった
それを教えてくれたのは、早紀であり、
夢を追って仕事をやめたかつての恋人、浩二であり、
そして何より、愛する恋人である



















わたしはもう一度ディスプレイを眺める



こんな気持ちになったことはないのかもしれない









彼氏の話を聞いてほしい


恋の悩みを聞いてほしい


一般論でもいい、

世の女性は、こんなときどうするのか知りたい


どれほどの自信と希望を持って人生の選択をするのか









女子高生のような願望と、
人生を考えた女としての迷いが一気に押し寄せる



































わたしはメールを書き直すために


BackSpaceキーに小指をつきたてた




















































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