真夜中の着信



















女の子からの連絡を、切実に待ったのは
一体どれほどぶりだろうか


僕は夕方4時少し前に帰宅して
マナーモードを解除して
携帯をガラステーブルの上に置く
そして、先週買ったばかりのCDを流して
ホットミルクでも飲もうと冷蔵庫から牛乳パックを取り出す


小鍋をだして牛乳をそそいで火をつける
しばらく様子をみていたが
その場を離れてなんとなく洗面所に入る
電気をつけて鏡の前に立つ
見慣れた自分の表情が、わけもなく冴えているように見える





今度は偶然なんかじゃなく彼女に会える
それは恋とはちがった
きれいな絵画を見るように
気に入ったインテリアを眺めるように
ただ漠然と、彼女の笑顔がひとつのアートのように思えた
特別に美人というわけでもない
スタイルが飛びぬけていいわけでもなく
瞳は奥二重で、たしか八重歯が生えていたが
肌はとにかく透き通るように白く清潔だった




ルックスにおいて大切なのは顔の造りではなく、
規則正しい生活から生まれる健全さだった






陽が落ちてゆくのを部屋の中で感じながら
僕はホットミルクを飲んだ
音楽を聴きながら雑誌を読みふけった



だが、
ミルクを飲み干しても
自分で飯を作って食べても
テレビをつけても、風呂に入っても
その夜彼女からの連絡はなかった


怒れはしなかったが、心配になった
学校がいそがしいのか、
恋人との約束を優先させたか、
それとも僕との約束を忘れてしまったのか・・・


一通りの可能性を想像したが考えても仕方が無い
来るかどうかもわからない連絡を待つために
睡眠時間を削るのは好きではない

僕は翌日の仕事にそなえて
22時過ぎにはベッドに入った










夢の中で、バイクが走り去る音と
携帯の着信音が二度、鳴った気がした



























































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(c)君に僕のラストソングを


photo by <NOION>
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